2016年11月9日水曜日

コラム「乳幼児突然死症候群とは」


こんにちは。カンガルーBLSの杉山です。
久しぶりのコラムですが、今回は乳幼児突然死症候群(SIDS)についてです。

このコラムでは、
☑乳幼児突然死症候群は原因不明
☑だからこそ、リスク因子と突然死予防、心肺蘇生法を学ぶことは大切である
ということを、書いていきます。

乳幼児突然死症候群とは
乳幼児突然死症候群とは「原因の不明瞭な乳児・小児の突然死」のことです。
前提として、「発見時・病院到着時に心肺停止状態」とされています。


診断の基準
乳幼児突然死症候群は具体的にどのようなものなのか、診断の基準は次の通りです。

①前提として、「病院到着時に心肺停止状態」である。


②典型的:

生後の成長発達が正常で、同じ環境で養育されている乳幼児の同様の死亡例がない。

死亡原因となる異常が、解剖して無いか、肉眼的所見として無い。


③非典型的:

死因とは断定できない病変(限局的な気管支炎や心房中隔欠損症など)がある。


…なんだか難しいですが、
⇒つまり、死亡原因がハッキリと分からない乳幼児の心肺停止のこと!



乳幼児突然死症候群と診断されない突然死
 原因の分からない乳幼児突然死症候群。では、それ以外の乳幼児の突然死はどのようなものがあるのでしょうか。

①認知の疾患による病死

 既往歴や診断された病気が突然死の原因として説明可能なもの。
 これは、元々、喘息や心臓の病気といった病気を持っていて、それが原因で突然亡くなってしまうものと、肺炎や気管支炎といった病気になって、それが急に悪くなって亡くなってしまうものの二つがあります。


②外因死

 死亡理由が外因で説明できるもの(窒息、事故、外傷、溺水、うつ熱、凍死、虐待、殺人、中毒など)。
 これは、不慮の事故や事件に巻き込まれてしまって、それによって突然亡くなってしまうものです。


③分類不明

 病死なのか外因死なのか明確ではない、外因の関与が疑われるが、それが死因と断定できないもの。
 これは例えば最近ケガをしていて、死ぬようなケガではないはずなのにその後に亡くなってしまう、などです。






ピークはいつなのか

 乳幼児突然死症候群は生後23ケ月が発症のピークです。日本では4,000~7000人に1人が発症するといわれています。
 生まれたばかりの子どもの場合、先天性疾患や周産期異常が関与している可能性があるので診断はとても慎重となります。

1歳を過ぎると非常に稀とされています(ゼロではありません)。



リスク因子とは
 原因は分かっていませんが、乳幼児突然死症候群により亡くなっている子供に多いエピソードを調べてみると、「これが可能性の一部かも?」と思われる事柄がいくつかありました。
 これをリスク因子といいます。
 よく挙げられているリスク因子は、次の通りです。
妊婦及び養育者の喫煙
②非母乳育児
③うつぶせ寝
 など…。

 ただし、これらのリスク因子と原因との関連性は明確には掴めていないのが現状です。

 妊娠をしている時にタバコを少しだけ吸ったとして赤ちゃんが突然亡くなってしまうかといえば、そうではありません。タバコを吸わずにとてもストレスを溜めて精神的に追い詰められてしまう方が、お母さんにも赤ちゃんにもよくないかもしれません。
 母乳が出なくてミルクで赤ちゃんを育てたからといって突然亡くなってしまうかといえば、そうではありません。母乳は関係なく、育児方法により赤ちゃんを抱きかかえる時間が長くなり、異変に素早く気づけるのかもしれません。

 また、近年では脳幹神経伝達物質の異常や、睡眠時覚醒反応の低下を含めた脳異常や循環系調節異常といった様々な異常が示唆されています。
 ですが、こちらも未だ原因との結びつきの解明には到れていません。現在も世界中で原因究明の研究がされています。

予防する為に、起こってしまった時の為に
 乳幼児突然死症候群の原因はハッキリしていません。乳幼児突然死症候群そのものを防ぐことは現在の医療では、出来ません。
 しかし、リスク因子を学んで出来るだけリスクを取り除くこと、乳幼児突然死症候群以外の子どもの突然死について学び予防をすること、乳幼児の心肺蘇生法を学ぶことは可能です。

 例えば、健康な乳幼児の突然死で最も多いとされる原因は窒息です。
 うつ伏せに寝かせていて寝具に鼻と口が覆われてしまったり、大人用の柔らかな寝具を使っていて鼻と口が覆われてしまったり、ベビーベッドにおもちゃを置いていて口にくわえて取り出せなくなってしまったり、しっかりゲップが出来ずに吐物をつまらせてしまったりといった原因があります。
 危険なものから遠ざけることで、多くの窒息や事故を未然に防ぐことが出来ます。
 また、万が一に乳幼児突然死症候群となって発見した場合や窒息などによる心肺停止を発見した場合、救急車が来る間に心肺蘇生法を行うことはとても有効です。
 早期の発見かつ早期の対応であるほど、蘇生率は向上すると考えられます。

おわりに
乳幼児突然死症候群を無くすことは困難です。
でも、子供たちの周りの大人には、できることが沢山あります。
大人たちが何ができるか学び、できることから始めること。
それが、子供たちの笑顔に繋がります。

カンガルーBLSでは、乳幼児の応急処置などの講習会を行っています。
興味のある方は、よろしければお問い合わせください。


資料
厚生労働省HP、乳幼児突然死症候群ガイドライン

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